ラジコン用電波
ラジコン用発振器の電界強度(電波の強さ)の許容値
ラジコン用発振器(プロポ)の電波は、前述のように電波法施行規則第6条第1項第2号により電界強度(電波の強さ)が規定され、これを受けた告示に、その用途(ラジコン用他)、並びに電波の型式及び周波数等が定められています。
ラジコン用無線局(プロポ)の規模
「当該無線局の無線設備から500メートルの距離において、その電界強度が毎メートル200マイクロボルト(約46dBµ/m)以下のもの」と規定されています。通常、無線局は一部を除き送信機の出力で規定されていますが、これでは高性能の空中線(アンテナ)を使用することで空中に輻射される電波はより強く通達距離も大きくなり他の無線局への影響も大きくなります。従って、ラジコン用無線局等免許を不要とする無線局は、電界強度の許容値を定めています。
ラジコン用発振器用の周波数
電波法施行規則第6条第1項第2号において、電界強度の許容値と利用できる無線局の用途並びに電波の型式及び周波数を告示で定めるとしており、そこで用途としてラジコン用発振器及び使用できる周波数等が規定されています。
【郵政省告示第708号(1957年8月3日) 最終改正:告示257号(2004年3月26日)】
免許を要しない無線局の用途並びに電波の型式及び周波数電波法施行規則第6条第2号の規定により、免許を要しない無線局の用途並びに電波の型式及び周波数を次のように定める
■電波の型式及び周波数等
[ラジコン用発振器用及びラジオマイク用]
電波の型式 | 周波数 |
A1D、A2D、A3E、F1D、F2D、F3D、F3E | 27.12MHz(1) |
A3E、F3E | 40.68MHz(2) |
(注)その発射の占有する周波数帯幅に含まれるエネルギーが、(1)の周波数については、(±)162.72kHz、(2)の周波数については、(±) 20.34kHzの範囲を超えないものに限る。
[ラジコン用発振器用]
電波の型式 | 周波数 | 用途 |
A1D A2D F1D F2D F3D |
40.61MHz
40.63MHz
40.65MHz 40.67MHz 40.69MHz 40.71MHz 40.73MHz 40.75MHz |
模型飛行機以外の無線操縦用発振器 (産業の用に供するものを除く。) |
40.77MHz
40.79MHz
40.81MHz 40.83MHz 40.85MHz 72.13MHz 72.15MHz 72.17MHz 72.19MHz 72.21MHz 72.79MHz 72.81MHz 72.83MHz 72.85MHz 72.87MHz |
模型飛行機の無線操縦用発振器 (産業の用に供するものを除く。) |
附則(2004年3月26日総務省告示第257号)
第2項第2号に規定する40.61MHz以上72.87MHz以下の周波数を使用するラジコン用発振器(産業用に供するものに限る。)であって、この告示による改正後の第2項第2号の規定にかかわらず、2009年3月31日までは、なお従前の例による。
電波の型式の表示と変調方式等
電波の型式の表示
ラジコン用発振器として認められている電波型式
【ホビー用】
A1D、A2D、F1D、F2D、F3D
【産業用】
F1D、F2D、F3D
【 電波法施行規則第4条の2(電波の型式の表示)】
電波の主搬送波の変調の方式、主搬送波を変調する信号の性質及び伝送情報の型式は、次の各号に掲げるように分類し、それぞれ当該各号に掲げる記号を持って表示する。
一. 主搬送波の変調の方式 記号
(1)無変調:N
(2)振幅変調:①両側波帯 A ②全搬送波による単側波帯 H (以下省略)
(3)角度変調:①周波数変調 F (以下省略)
二. 主搬送波を変調する信号の性質 記号
(1)変調信号のないもの:0
(2)ディジタル信号である単一チャンネルのもの:
①変調のための副搬送波を使用しないもの 1
②変調のための副搬送波を使用するもの 2
(3)アナログ信号である単一チャンネルのもの:3 (以下省略)
三. 伝送情報の型式 記号
(4)データ伝送、遠隔測定又は遠隔指令:D (以下省略)
この規則その他法に基づく省令、告示等において電波の型式は、前項に規定する主搬送波の変調の型式、主搬送波を変調する信号の性質及び伝送情報の型式を同項に規定する記号をもって、かつ、その順序に従って表記する。(以下省略)
※ラジコン用発振器に使用できる電波型式は、単一チャンネルのディジタル信号又は、アナログ信号により主搬送波を振幅変調(両側波帯のものに限る。)又は、周波数変調をしたものに限られています。ラジコン用発振器の電波型式は、現在F1Dが多く使用されています。
ラジコン発振器の変調方式
電波型式に示されているように、ラジコン用発振器の変調方式は、
振幅変調(AM:Amplitude Modulation)と周波数変調(FM:Frequency Modulation)の2種類が認められています。また、主搬送波を変調する信号の変換方式としては、下記2種類が用いられています。
○PPM(Pulse Phase Modulation:パルス位相変調) 又は (Pulse Position Modulation:パルス位置変調)
○PCM(Pulse Code Modulation:パルス符号変調)
現在のラジコン用発振器は、ディジタル変調された制御信号で主搬送波を変調しているものが多く正しく表現すると次のとおりとなります。
・PPM-AM(パルス位置変調信号で主搬送波を断続又は振幅変調するもの)
・PCM-AM(パルス符号変調信号で主搬送波を断続又は振幅変調するもの)
・PPM-FM(パルス位置変調信号で主搬送波を断続又は周波数変調するもの)
・PCM-FM(パルス符号変調信号で主搬送波を断続又は周波数変調するもの)
通信方式
ラジコン用の通信方式は、単向通信方式のみが認められています。ラジコン用発信機の推奨規格(1954年11月24日郵政省告示第895号)において、「通信方法は、単向通信方式であること。」と規定され、その後、2001年協会の標準規格制定に伴い規定化され現在に引き継がれています。
【電波法施行規則第2条第16号(定義)】
「単向通信方式」とは、単一の通信の相手方に対し、送信のみを行う通信方式をいう。
ラジコン用発振器に関する技術基準
プロポに関する技術基準は、郵政省告示第895号により規定されていたが、2001年3月廃止されました。しかし、安全運用の確保のために同告示の技術基準を継承することが必要と日本ラジコン模型工業会、日本科学模型安全委員会、ラジコン用発振器メーカー等の支援協力を受け、同告示の目的及び推奨規格を踏襲し、同月一般財団法人日本ラジコン電波安全協会規程として標準規格として規定し、以降、この規定により適合証明を実施しております。
電波法令に違反した場合の罰則
不法無線局を開設又は運用した場合
前述のとおり、電波法第4条(無線局の開設)の規定により、無線局を開設しようとするものは、原則、総務大臣の免許を受けなければならない。例外として微弱無線局、ラジコン無線局等は免許を要しない無線局と規定されています。
しかし、微弱無線局は、電波法施行規則第6条第1号において電界強度の許容地が規定され、また、ラジコン無線局は同第2号に電界強度の許容値、同規則を受けた告示第708号に用途・電波の型式・周波数が規定されているため、これらの条件に適合しない無線設備を使用して運用することは、免許を受けない無線局に該当し、電波法令違反となるので電波法の罰則規定が適用されます。
外国から流入する35、45、49、72(電波法で認められていない周波数)、及び75MHz帯等、いわゆるお化けや特バンと言われている周波数で運用することは当然電波法令違反となり同罰則規定が適用されます。
【電波法第110条(改正:2003年6月6日 施行:2004年1月26日)】
次の各号の一に該当する者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
一. 第4条の規定による免許がないのに無線局を開設し、又は運用した者 (以下省略)
※本罰則規定は、免許を受けないで運用したもの以外にも、免許を受けていない無線設備が電波を発射しうる状態にあるもの、運用する意思があるもの等については無線局を開設(不法開設)したものとなります。
※近年、電波法令の規定を逸脱し、電気通信事業、警察、消防・救急無線等の重要無線を始め業務用無線に混信・妨害を与える不法無線局が増大してきたことから罰則が強化(電波法罰金50万円→100万円)されています。
免許を要しない無線局が総務大臣の検査を忌避した場合
電波法第82条で、免許を不要とする無線局の無線設備の発する電波又は受信設備が副次的に発する電波が他の無線設備の機能に継続的かつ重大な障害を与えるとき、障害を除去するための措置必要があると認めるときは、職員を当該設備のある場所に派遣し、その設備を検査させることができるとしている。この検査を忌避等した場合は、電波法の罰則が適用されます。
【電波法第111条(免許を要しない無線局及び受信設備に対する監督)】
第73条第1項第4項若しくは第5項又は第82条第2項の規定による検査を拒み、妨げ又は忌避した者は、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。